開発の近況や上手な使い方などをご紹介

会津若松Akisaiやさい工場を見学してきました



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こんにちは。技術部の中川です。

農業支援のシステムとしてはアグリノートの先輩である、富士通のAkisai(秋彩)ですが、その名を関した植物工場が福島県の会津若松市に生まれました。

会津若松Akisaiやさい工場産「キレイヤサイ」を販売開始 : 富士通
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/05/7-4.html

今回はたまたまご縁がありまして、この「会津若松Akisaiやさい工場」を6月17日に見学させていただきましたので、レポートを書かせていただこうと思います。

思ったよりもオシャレな工場だった!

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富士通がレタスを作っている?その最新の野菜生産方法とは : FUJITSU JOURNAL(富士通ジャーナル)
http://journal.jp.fujitsu.com/2014/04/04/04/

上記の記事をご覧いただくと分かりますが、この富士通セミコンダクター会津若松工場は、元々(そして現在も)半導体を生産する工場です。そのうちの1棟を改造して、植物工場として運用しているそうです。

「先端農業」という言葉の輝きに合わせてなのか、エントランスは写真のようにオシャレな雰囲気になっておりました。

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また、Akisaiらしく、施設園芸Saas・施設環境制御boxの模型がお出迎えしてくれました。

実際に、タブレット端末から遠隔操作で、この模型の屋根の開閉や遮光カーテンの開閉を行う実演も見せていただきました。多くのハウスをお持ちの農家さんにとっては、こういった機能がとても助けになるのだろうと思います。

まずは座学

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工場見学の常と致しまして、まずは座学でございます。

富士通ホーム&オフィスサービス株式会社 先端農業事業部の佐藤様から、この植物工場が生まれた経緯や、技術的な説明、目指すところなどについてをご説明いただきました。

概ねの内容としましては、下記のWebページの内容になりますので、ぜひご覧ください。

先端農業事業:会津若松Akisaiやさい工場について : 富士通ホーム&オフィスサービス
http://jp.fujitsu.com/group/fho/business/advance/info/

低カリウム技術は特許を利用

元々は秋田県立大学発の低カリウム栽培に関する特許技術(詳細)を利用して、会津富士加工さんが商品化していたものを、そのままの手法で富士通さんが大規模化したものだそうです。

化学肥料の成分といえば『チッ素・リン・カリ』ですが、カリウムはその一つとして、野菜にとって重要な栄養素です。根から取り込んだカリウムは野菜の中にそのまま残る形になり、特に新鮮な野菜に多く含まれています(作目・品種にもよるようです)。

カリウムを多く摂取することは腎臓病の患者さんにとってリスクを伴うことがあるとのことで、新鮮な野菜を摂りたいという方にとっては福音となる商品のようですね。

また、この特許技術は水耕栽培ならではの手法により実現されているため、「低カリウム」という付加価値による市場は基本的に既存の農業市場と競合しない、といった話も伺いました。

価格

もともとは半導体を作るための施設を転用していることもあり、どちらかというとハイコストな作り方になってしまっているこのレタス。

「高機能野菜」という付加価値を付けて、普段スーパーで買っているレタスよりはお高い1袋400円という価格設定になっています。

ひとまず、この価格設定なら工場を回していけるとのこと。

技術者から見た植物工場

生産部 部長の宮部様からもお話を伺うことができました。

「植物工場における水耕栽培の工程管理は、ある種、これまでやってきた半導体の工程管理に近いものがあり、工夫のしがいがある」といったお話や、「(土耕・水耕に限らず)農耕はエンジニアリングの側面を持っており、技術屋の考え方が通用する部分も多い」といったお話など、エンジニアである筆者としては大変興味深いお話をされておりました。

クリーンルームを体験する(ここまでやるのか!)

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色々とご説明いただいた会議室の隣には、来客者向けのクリーンルーム体験室があり、中へ入らせていただきました。

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現在主に育てているのは「フリルアイス」という品種のレタスですが、実験的にサンチュなども育ててみていることもあるそうです。

ただ「サンチュを飲食店に置いてもらおうと思って持っていったら、『高い!』って言われちゃったのでお蔵入りしそうですけどね(苦笑)」とのことでした。

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さて、クリーンルームに入るためには、特別な服を着なければならないようです。

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えっ、あの、そこまで・・・

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予想を遥かに超えた完全武装です。この後も

  1. 長靴を履き
  2. 長靴の埃取り
  3. 消毒液による長靴の除菌
  4. ゴム手袋の上からの手洗い

と入室までの工程が待っておりました。

『埃や雑菌のほとんどないクリーンルーム』を実現するためには、ここまでしないといけないようです。これが1袋400円の品質のための努力なのだと感じ入りました。

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「これが・・・水耕栽培か・・・」

恥ずかしながらこの筆者、実際に稼働している水耕栽培を見たのが生まれて初めてでして、液肥が循環している姿を見ながら感心しきりでした。

液肥の循環、肥料の濃度、pHの調整などの作業はコンピュータ制御のポンプが自動でやってくれるようですが、育苗工程から定植までの流れなどは人間が手作業でやっているそうです。自動化が今後の課題の一つ、とのこと。

本物のクリーンルームを見学

さて、ひと通り体験させてもらったところで、今度は本物のクリーンルームを見学させてもらえることになりました。

とはいえ、見学用の部屋が用意されているくらいですから、実際の部屋には入れてもらえないようです。まあ、仕方ないですよね・・・と少しだけテンションが下がっていたのです。が。

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(あっ、これはすごいわ)

思った以上の規模でした。もう何部屋かあるようでしたが、この工場全体で3500株/日の生産能力を持っているそうです。

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今さっき小さい部屋で見たものとの違いに圧倒される(でも写真は撮る)見学者たち。

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スタッフの方が何かの作業をしている姿も見られました。

こうした地道な作業の中で、自動化すべき作業と、人間がやり続けるべき作業を見極めていくようです。

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それぞれの棚の下ではサーキュレーターが回っており、できるだけ葉っぱの周りの空気を澱ませずCO2が枯渇しないように風を起こしています。試行錯誤中の手作り感に溢れる光景です。

企画が生まれてから約1年、実際に工場が稼働し始めてからは半年程度とのことですので、まだまだ発展途上で工夫の余地は大いにありとのことでした。

実食

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会議室に戻ると、おもむろにレタスの実物が置かれていました。試食タイムということみたいです。

それでは食べてみましょう。

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瑞々しい・・・それにそこはかとなく甘みが・・・

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現在から1ヶ月以上前である5月12日に収穫したものや、低カリウム化の工程を行わずに育てたものも置いてありました。

「通常品」と書かれた方は、レタスらしい苦味があり、これはこれで、といった味わいでしたが、比較してみると低カリウムレタスの甘みが際立った感じです。(感想には個人差があります)

しかしこれを普通に買ったら400円か・・・という気持ちもあり、野菜にとって重要な価値をどこに置くかによって、意見が分かれそうなところでした。

敢えて小学生並みの感想を書かせていただきますと、とても美味しかったです。

ネット通販あります

このレタス「キレイヤサイ」ですが、どうやらネット通販もしているそうです。下記のページからご購入いただけます。

https://directshop.fom.fujitsu.com/shop/main/actionNameTxt/ctgry/cmdtyFlagTxt/sr/ctc/akisai

5袋1,680円からの販売とのことですので、試しに買ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに会津の生協でも販売しているそうです。

面白い取り組みの工場でした

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最後に見学メンバーと、富士通の佐藤様・宮部様とで集合写真をパシャリ。

レタスを食べながら、どうやったらこの工場の取り組みが新しい市場を作っていけるのか、産学官連携は可能なのかなどの話題で盛り上がっていました。

まとめ

「『大規模』で『高付加価値』で『拠点を遍在させられる可能性を持つ』『水耕栽培』」という、個々でならある程度の事例が既にありそうなことを富士通さんの持ち前のパワーで同時に実現してしまいそうな施設が、会津若松Akisaiやさい工場だという印象を持ちました。

「農業の新しい分野」を農家の皆さんにご紹介しようと思い立ち、工場見学に行って参りました。農業経営者の皆様、農業関係者の皆様の目にはこの工場がどのように映りましたでしょうか?

是非、FacebookやTwitter、社内でお使いのチャットなどでこの記事をシェアしていただき、皆様の周囲の方々と意見を交わしていただけると、会津まで足を伸ばした甲斐があったというものです。

それでは、またの機会にお会いしましょう。