イトウさんのちょっとためになる農業情報 第18回『施設の省エネ対策』
※こちらの記事はアグリノート公式Facebookページに掲載した連載記事を、アーカイブとして転載したものです。
※第17回、第19回が同じテーマの内容でお話しが続くため、連載順を変更し先に第18回を公開いたしました。
【2017/10/19更新:第十八回】
コラム連載18回目の本日は
元普及指導員・イトウさんの“ちょっとためになる農業情報” 、『施設の省エネ対策』のお話しをお届けします。
急ぎ冬支度をするその前に、ぜひご一読ください。
シーズン前に施設の省エネ対策!
加温をする施設栽培ではそろそろ冬支度をしている品目もあるかと思います。
本格的に気温が低下する前に再度施設の点検を行っておきましょう。
施設の点検はコストをかけずに確実に効果が得られる省エネ対策ですから、きちんと行って収益向上を目指しましょう。
暖房機の点検と整備
暖房機の性能を十分に引き出して無駄な燃料を使用しないためには定期的な点検と整備が重要です。
1. 缶体の清掃
燃焼カスが缶体に溜まることで、燃焼効率の低下や不完全燃焼の原因になります。
年に1回、なるべくシーズン終了直後に行いましょう。放置すると腐蝕の原因となります。
2. ノズルの交換
ノズルが摩耗すると燃油量が増える上、故障や缶体傷みの原因となります。
シーズン毎、または燃焼1000時間を目安に交換しましょう。
3. エアシャッターの調整
開度を適切に調整すると燃焼効率を向上させられます。調整にあたっては業者への相談をおすすめします。
点検の実施を忘れないように、いまのうちに作業予定としてアグリノートに記録しておくと良いでしょう。
ハウス内の温度むらの防止
ハウス内の温度むらは生育のばらつきだけでなく暖房効率の低下にも繋がります。
均一な温度環境を目標にしましょう。
1. ダクトの点検と交換
ダクトは経年劣化により破れやすくなります。
特に親ダクトの取付部などは損傷しやすいので重点的に確認し、必要に応じて交換しましょう。
2. ダクトの配置調整
ハウス内の冷え込みやすい場所に対してはダクトの本数を増やす、太いダクトを配置するなどの対策を行いましょう。
複数の温度計をハウス内に設置しておき、日頃から温度むらを観察しておくことも大切です。
3. 温度センサー設置位置の調整
植物は成長点部分の温度に敏感に反応します。したがって、基本的には作物の成長点の高さを目安に、ハウス内を代表するような場所を選んでセンサーを設置します。
ON/OFFが頻繁に繰り返されると故障の原因となるため、温風がセンサーに直接当たらないように注意しましょう。
ハウスの気密性の向上
被覆による保温効果を高めるためには、熱のロスを引き起こすような空気の動きを最小限にすることが大切です。
1. 施設の隙間を塞ぐ
隙間があるとせっかくの熱が外部にそのまま逃げてしまいます。巻き上げ換気のビニールが擦れる部分や、谷部、四隅の接合部、出入り口などは特に破れやすい部分なので重点的に確認しましょう。
2. カーテンの隙間を塞ぐ
夜間、カーテンの上部には冷たい空気が溜まっています。冷たい空気は重たいので、カーテンに隙間があるとこの空気が下りてきてしまい、暖房効率が大幅に低下します。サイドカーテンの裾や谷部は特に注意です。
3. 二層カーテンの隙間を塞ぐ
二層カーテンを使用している場合は、カーテン同士の隙間を塞ぐようにすると効果が高まります(参照:図3のB)。周縁部からの空気の下降を防ぐようにするとより効果的です。
≪参考文献≫
– [JA全農『施設園芸省エネルギー対策の手引』]
http://www.agri.zennoh.or.jp/syoene/index.asp