イトウさんのちょっとためになる農業情報

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イトウさんのちょっとためになる農業情報『アブラムシ』 #1

※こちらの記事はアグリノート公式Facebookページに掲載した連載記事を、
アーカイブとして転載したものです。

【2017/6/15更新:第四回】

こんにちは。アグリノートサポートチームです。

コラム連載4回目の本日は、元普及指導員・イトウさんの
“ちょっとためになる農業情報” 『アブラムシ』のお話しをお届けします。

あたたかいこの時期の植物の天敵・アブラムシ。
悩まされている方も多いのではないでしょうか。
実はとても特殊な生き物……らしいです。

 

アブラムシとは

今回から3回に渡って、アブラムシのお話しをします。

 

■■ どんどん増えるアブラムシ

アブラムシは色々な植物に発生する虫で、暖かい季節にはほとんどどこでも見られるような虫ですが、その生態はけっこう特殊です。

アブラムシは交尾をせずに仔を直接産む「単為生殖」をします。しかも卵を産まず直接仔が生まれてくるのです(卵胎生といいます)。その上、冬が近づいてくると雄が出てきて、今度は交尾をして卵を生み、卵で越冬します。

アブラムシ産仔シーン

また、アブラムシには羽のある有翅型と、羽のない無翅型が存在しています。無翅型は、増殖力は高いのですが移動能力は高くありません。そして、密度が高まったり環境が悪くなったりすると有翅型が生まれてきて別の場所に移動します。しかも単為生殖をしますから、良い餌に到着できれば無翅型の仔を産み、即座に増殖をはじめます。単為生殖によるアブラムシの増殖はとても早く、条件が良ければ1ヶ月で1万倍に増えるとも言われています。

ダイコンアブラムシコロニー(有翅+無翅)

今の季節は有翅型アブラムシが目に見えて増えてくる時期です。野菜苗や花壇、庭木などを確認してみると有翅型のアブラムシがとまっているのを見つけられるのではないでしょうか。既にかなり増殖してしまっているかもしれません。

 

■■ こわいこわいアブラムシ

アブラムシが生長点に寄生すると、葉がでこぼこに萎縮して巻くような症状が良く見られます。こうなると植物の正常な生育は望めません。アブラムシは必要以上に植物の汁液を吸い続けるので、植物は生育が劣ったり病気にかかりやすくなります。

アブラムシ被害(シソ)

アブラムシが吸った余分な汁液は「甘露」と呼ばれる排せつ物として垂れ流し状態になります。甘露には黒いすす状のかびが生えやすく、かびが生えた状態は「すす病」と呼ばれます。甘露にカビが生えているだけで植物に感染しているわけではありませんが、カビが葉の上に密に発生すれば光合成を阻害しますし、出荷部位に発生すれば商品価値を著しく損なうので放置するわけにもいきません。

すす病

そして何より恐ろしいのは、アブラムシは多くの種類のウイルスを媒介するという点です。植物に感染するウイルスは600種類以上が報告されていますが、その半数以上がアブラムシによって媒介されると言われています。

ウイルスの種類にもよりますが、アブラムシが媒介するウイルスに感染すると多くの場合「モザイク症状」という葉やその他の部位がまだらになる症状を示します。植物ウイルスはヒトへの危険性はありませんが、作物の見た目が悪くなり、生育も悪化するので商品価値は大きく低下します。症状が進めば枯死することもあります。なにより、アブラムシによって媒介されるウイルス病の多くは汁液伝染をするため、放置すると管理作業などで感染がどんどん広がります。

ピーマンモザイク病

植物のウイルス病は治療する手段がありません。感染をみつけたらなるべく早く抜き取りましょう。抜き取った植物はほ場の付近に放置すると伝染源となってしまいますから、ほ場から離れた場所で穴をほって埋める等、適切な方法で処分しましょう。