イトウさんのちょっとためになる農業情報

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イトウさんのちょっとためになる農業情報 第1回『マルチ』 #1

イトウさんのちょっとためになる農業情報

※こちらの記事はアグリノート公式Facebookページに掲載した連載記事を、
アーカイブとして転載したものです。

 

【2017/5/25 更新:第一回】

こんにちは。アグリノートサポートチームです。

本日より連載スタート!
元普及指導員・イトウさんによるちょっとためになる農業情報です。
初回のテーマは 『マルチ』(全3回)。

まずはポリマルチとはどういうものなのか、特徴や効果のお話しをお届けいたします。

 

マルチの基本的な効果

農業で使用する「マルチ」とは、
土の表面を覆うためのポリエチレンフィルムや紙でできた資材のことを言います。

マルチは地温の調整や土壌表面の保護、雑草防止などの目的で使われる資材ですが、
一口にマルチといっても様々な種類があり、それぞれ特性が異なります。
そのため、どのような種類のマルチを、どんな時期に、何のねらいで使うかを意識することが大切です。
今後何回かに分けて、マルチの中でも一般的なプラスチックマルチについてお話ししたいと思います。

マルチ#1

今回はまずプラスチックマルチに共通する効果について説明をします。

 

■■ 土壌を保護する効果

マルチの効果としてまず重要なのは土壌を保護する効果です。
雨や風から物理的に土壌を保護することで、耕した直後のふわふわの土を長く維持する効果があります。
これにより土壌中の通気性が保たれ、植物の根が健全に生育することができます。

 

■■ 病害の低減

植物の病気の中には、雨滴などで泥がはねることによって病原菌が植物体に付着し、
それが原因で感染してしまうものがあります。
マルチをすることによってこれを予防することができます。
また、土壌からの蒸散量が減ることで空中湿度が上がりにくくなりますから、
ハウス栽培では糸状菌(カビ)による病気の発生を抑える効果もあります。

 

■■ 土壌水分の安定

マルチが無い場合、土壌表面から水分はどんどん蒸発してしまいますし、
雨が降れば一気に土壌中に入ってきます。
このような急激な土壌水分の変化は植物にとって好ましいものではありません。
マルチによって水分の損失も流入もどちらも穏やかにすることができます。
例えばトマトなどは急に水分量が増えると裂果してしまいますが、
マルチによってこれをある程度予防することができます(より効果を上げるためには雨よけを設置したりして雨から遠ざける必要があります)。

 

■■ 肥効を安定させる効果

プラスチックマルチには基本的に地温上昇効果があります。
地温が上昇すると土壌中の微生物の働きが活発になりますから、
有機質肥料の肥効を高めることができます。
また、雨から土壌を保護することで肥料の流亡を防ぐことができるので、
一般的にはマルチなしに比べて3割程度の減肥が可能です。

 


≪ 参考資料 ≫
– 日本施設園芸協会『五訂 施設園芸ハンドブック』
– [ルーラル電子図書館:概要:『農業技術大系』野菜編 基+233~基+234 マルチの有無と施肥法の違い] 
http://lib.ruralnet.or.jp/cgi-bin/ruraldetail.php?KID=y236032z

– [ルーラル電子図書館:概要:『農業技術大系』土壌施肥編 土壌と根圏II+62の1の2~土壌と根圏II+62の1の8 野菜・地温による生育のちがいと土壌管理] 
http://lib.ruralnet.or.jp/cgi-bin/ruraldetail2.php?DSP=taikei!d!d010!d0100390.htm