イトウさんのちょっとためになる農業情報

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イトウさんのちょっとためになる農業情報 第32回『露天温度』

※こちらの記事はアグリノート公式Facebookページに掲載した連載記事を、アーカイブとして転載したものです。

【2018/03/29更新:第三十二回】

『元普及指導員・イトウさんの“ちょっとためになる農業情報”』、温度と湿度に関するお話しの最後は「露天温度」についてです。

露点温度

以前飽差の話を取り上げた際、「空気は気温によって含める水蒸気の量が決まっている」というような説明をしました。
飽和水蒸気圧(または飽和水蒸気量)です。

ところで、気温で飽和水蒸気量が決まるのであれば、逆にある水蒸気の量が飽和水蒸気量となるような気温が求められるはずです。もう少し話をすすめて、「現在の空気が含んでいる水蒸気量が飽和水蒸気量となるような気温」を考えてみましょう。そのような気温まで現在の空気を冷やしたとしたら、空気は水蒸気を維持していられなくなるのではないでしょうか?

 

露点温度と結露

この「冷やしていったら空気が水蒸気を維持していられなくなりそうな気温」を「露点温度」あるいは単に「露点」と呼びます。
実は露点温度になっても空気中の水蒸気はすぐに水になるわけではなく、空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量よりも多くなる「過飽和」と呼ばれる状態になります。過飽和状態の空気は少しのきっかけで霧になったり結露になったりします。

それはともかく、露点温度は「これくらいまで冷えたら結露しそう」という意味が明確な指標なので、直感的で把握しやすい指標です。露点温度と現在気温が近ければ湿度が高く、少し冷えればすぐ結露しそう、という判断ができます。欧米では農業地帯の天気予報で露点温度も合わせて表示される場合があるそうです。

 

露点温度表

露点温度は他の湿度指標と同様に、気温と相対湿度が分かっていれば計算できます。しかし、感覚的に理解しやすい指標ではあるものの、計算は面倒です(詳しい計算方法を確認したい場合は、参考文献に挙げた気象庁の「気象観測の手引き」をご確認下さい)。

そこで、以前気温と相対湿度から飽差の一覧表を作成したのと同じように、気温と相対湿度と露点温度の関係を表にしました。
氷点下の値については水を液体(過冷却水)とみなすか氷とみなすかによって少しだけ値が異なりますが、この表では過冷却水とみなして計算しています。また、図中グレー網掛けで示したのは以前説明した最適(と言われている)飽差の範囲です。30℃を上回ってくると露点温度と気温の差がかなり小さくなって、シビアな温湿度管理が要求されることが分かるのではないでしょうか。

 

#32-気温と相対温度と露天温度の関係

 

ちなみに、温湿度計の中には露点温度の表示に対応しているものもあるので、興味のある方は探してみると良いでしょう。また、センサー部を冷却することで実際に結露が始まる温度を実測する露点計と呼ばれる測定装置もありますが、こちらは高価で、温室の様な環境で使用するには不向きです。普通の用途であれば、通常の温湿度計に露点温度表示機能がついたものをオススメします。これは単に計算しているだけなので、それほど高価ではありません。

 


≪参考文献≫
– 気象庁. “気象観測の手引き”. 1998-10.
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf , (参照 2018-03-16)
– 嶋津光鑑. 連載 施設環境制御の基本 第3回 湿度の基本. 施設と園芸. 2016, vol. 172, p.66-69
– 農研機構. “露点温度”. ルーラル電子図書館-農業技術事典NAROPEDIA.
http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=15632 , (参照 2018-03-16)