イトウさんのちょっとためになる農業情報

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イトウさんのちょっとためになる農業情報 第43回 土壌診断#3『pH』

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※こちらの記事はアグリノート公式Facebookページに掲載した連載記事を、アーカイブとして転載したものです。

【2018/07/26更新:四十三回】
『元普及指導員・イトウさんの“ちょっとためになる農業情報”』新シリーズ「土壌診断」の第3回をお送りいたします。

今回からいよいよ診断項目についての解説です。

pH

pHは土壌が酸性なのかアルカリ性なのかを示す指標で、0から14までの間の数字で表されます。
0に近いほど酸性で、14に近いほどアルカリ性、ちょうど7で中性になります。

pHという言葉は100年以上前から使われており、”power of hydrogen”の略と言われています(”p”に対応する部分がドイツ語由来という説やフランス語由来という説もあります)。

日本語では「水素イオン指数」といいます。数字の表現の仕方の関係上、pHが低いほど水素イオンがたくさんある、という状態になります。つまり、水素イオンがたくさんある状態が酸性、ということです。

 

pHの測定

pHは土壌診断項目の中では比較的簡単に測定できるもので、ホームセンター等にも色々な測定機器が売っています。一般的な土壌診断では純水に対して一定の重量割合で乾燥土を加え、一定時間振とうさせてから懸濁液のpHを測定します。

日常的に測定する場合は、水100mLに採取した土をそのまま入れて合計150mLとし、1分間振とうしてからpHメーターで測定する生土容積法という方法が簡単です(風乾土を使う方法とは多少違う値が出る可能性はあります)。
100mLと150mLの部分にラインを引いた容器を準備しておくと便利です。pHメーターはメンテナンスをしないと測定値がずれてくるので、定期的な校正とセンサー部分の交換を行うよう注意しましょう。

 

pHが高い・低いとどうなるのか?

pHが低すぎる場合には、一般に以下のような影響が出てきます。

– 細菌の活性が下がり、有機物の分解が遅くなる。
– 鉄やマンガンの過剰害が出やすくなる。
– アルミニウムによる生育障害が起こる(極端な低pHの場合)。

pHが低くなってしまう原因として多いのは多肥です。硝酸イオンは土壌を酸性化するため、窒素肥料が多ければipHが下がります。
また、硫安や塩安などの肥料は酸の元である硫酸イオンや塩素イオンを含むので、これらの肥料によってpHが下がることもあります。

一方でpHが高すぎる場合の影響としては、以下のようなものがあります。

– 鉄やマンガンなどの不溶化で、欠乏症が出やすくなる。

日本は雨が多く、露地では塩類が流されるために土壌は酸性傾向にあります。にも関わらずpHが高くなっている場合には、石灰・苦土・加里のような塩類が過剰に集積している場合があります。
もともとの性質としてpHが低い日本の土壌では、石灰施用による増収効果が現れやすい傾向があります。とはいえ、習慣的に投入を続けると石灰も過剰となります。土壌診断結果に基づいて施用量を調整することが大切です。

 

土壌診断03_pH