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生育、収穫、出荷記録に収支管理とフル活用!作業内容をアグリノートに蓄積し、新しいスタッフにも作業のノウハウを共有できるように考えています。

和歌山県有田市株式会社早和果樹園

この事例のポイント!

  • 作業記録のメモ欄に作業内容を記録。スタッフ間でノウハウを共有
  • 生育記録で検査記録を残し、生育進捗をグラフで把握できるように
  • 収穫データを細かく記録・管理し、収量予想の精度を高める仕組みを構築

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「作る」から「届ける」へ。有田みかんの6次産業化を進める農場のデジタル活用最前線

和歌山県有田市といえば、日本でも屈指のみかんの産地として全国的に知られています。早和果樹園はその有田市にある果樹園です。現在は生産のみならず、ジュースやゼリー、ドライフルーツといった加工品の製造も行っており、地域全体の農業の持続可能性にも貢献する6次産業化の成功例としても注目されています。
今回はアグリノートの導入の経緯や活用法について、専務の松本様(写真左)と農場長である岩倉様(写真右)にお話を伺いました。

熱意ある提案を受けてはじめたIT導入。 すぐに成果は出ないことを理解し、長期的視点で一歩ずつ

– 早速ですが、早和果樹園さんがアグリノートを導入した経緯を教えていただけますか。

松本さん: 「アグリノートの導入は2021年頃だったと思います。もっと遡って最初にITを導入したのは10数年前になります。当時はまだ農業者は畑仕事のみで、パソコンなんかいじらないというのが常識で、そんな時にある企業の方が農業でのIT活用と実証事業への参加について、とにかく熱く語ってくれたんです。その方のお話しが本当に実現するのならITの導入は必要なことなのだろうと思い、その実証実験に協力することにしました。その後、実証で使用したITサービスはサービスの提供を終了してしまいましたが、そのタイミングでアグリノートをご紹介いただいて使い始めたというのが経緯になります。」

– 企業から提案されるまでは、特にITサービスの利用は意識されていなかったということでしょうか。

松本さん: 「僕ら農業者は、デジタルの世界がどんな進化をしているか全然わからないんです。なので、いろいろ提案してもらう中で段々と興味を持ちました。ただし、実証実験に協力するにあたっては、農業は他の業態と違ってITを導入したからといってすぐに期待する結果は出ないだろうから、長い目で見てほしいとお願いしました。」

– 確かに農業は数年単位でノウハウを溜めていく必要がありますよね。それでは、みかん栽培における栽培管理のデジタル化のポイントを教えていただけますか。

sowakajuen_image02松本さん: 「柑橘類には隔年結果といって豊作(表)と不作(裏)を1年おきに繰り返す性質があります。なのでそのまま栽培すると年によっての収入に大きく影響するので、表と裏の差を栽培技術で極力出ないようにしていくんです。でもどうしても自分たちの技術でコントロールしきれない部分があった時に、作による差を見ていく必要があります。」

岩倉さん: 「畑ごとの開花タイミングも年によって若干ずれることがあります。開花何日後から散布する薬があったり、開花日から逆算して散布したりと作業が複雑になることもあるので、アグリノートで過去の実績を遡ることは重要です。特に重宝している記録は開花時期と灌水(かんすい)ですね。」

– 灌水の記録ですか。

岩倉さん: 「そうです。灌水は柑橘類にとって生育に大きく影響するので、特に記録数が多くなっています。それこそ水やりの目的、どの範囲に行ったか、方法やタイミングについても細かく記録するようにしています。

作業記録を通じて社員へのノウハウが浸透。それがマニュアルになっていく

– 灌水の記録が多いとのことですが、アグリノートへの記録づけについて詳しく教えていただけますか。

岩倉さん: 「アグリノートは農場に関わる従業員全員で使っています。日々の作業記録では、いつ・誰が・どの畑で・何を・何時間したかを記録しています。会社としてはどれだけお金を使ったかも見たいので、単価を設定して畑の支出についても確認しています。」

– 記録付けに関してルールのようなものはありますか。

岩倉さん: 「その日の作業が終わって戻ってきたタイミングで、それぞれが自分のスマホで作業記録の入力をしています。2人1組の作業の時は誰が入力するかは決めていませんが、入力しとくわと声を掛け合ってやっています。入力されたものは私がその日の最後に、時間がないときは1週間分記入漏れがないかどうか確認するようにしています。」

– 1日が終わって、皆さんが帰られたときにはもう一通りの記録が残っているという状態ですね。

sowakajuen_image01岩倉さん: 「そうですね。記録はカレンダーから確認することが多くて、アグリノートと紙の日報を見比べて抜け漏れがないかを確認しています。散布量の記入ミスとか倍率の記入ミスがよくあるので、そこをチェックしています。」

松本さん: 「僕はアプリのことは全然わからないのですが、畑の様子はどう?と聞くとアグリノートを見ながらすぐに答えてくれるので、すごいなあと思っています(笑)」

– 記録を拝見したところ、作業記録のメモ欄をたくさん使っていただいているようですが、これにはどんな工夫があるのでしょうか。

岩倉さん: 「若くて未経験のスタッフが多いので、技術の継承じゃないですけど、先輩スタッフの作業内容をメモ欄に残して、この作業にこのくらいの時間を使いますという予実管理をしているんです。
例えば40時間を予定していた作業の実績が13時間だった時に、誤差がかなりありますよね。そうなった理由や方法を分析するためにメモ欄に作業内容を残すようにしています。
特に『仕上げ摘果』という実を間引く作業は、ノウハウを他の人に伝えにくい作業なので、何をどうやっているのかを記録に残すことで新しく入ってきたスタッフでも的確な作業ができるようにと考えています。

– まさに作業を記録しながらノウハウが蓄積されて、マニュアルになっていくという理想的な形ですね!

 

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メモ欄に現場の様子や作業内容を細かく入力し、共有している様子

生育・収穫データを一元管理。予測精度を高める仕組みをアグリノートで構築

– 生育記録は活用されていますか。

岩倉さん: 「これもかなり使っています。7月から月2回検査を行っていて、果実の大きさや果汁の糖度などを調べています。以前はその結果をエクセルに入力して管理していましたが、アグリノートに切り替えました。アグリノートだと時系列のグラフが自動で出てきて、生育の進み具合を確認できるのでとても使いやすいです。

生育イベントの記録には良い使い方がいろいろあるんですよ。例えば、灌水だといつのタイミングでどういう水やりをしたのかが重要なので、灌水作業だけは切り出して作業記録ではなく生育イベントの中で記録をつけています。

あとは虫の発生も、どの畑に何の虫が発生したというのを生育イベントで記録すると後で振り返りやすくなるので、この時期にはこういう対策が必要だね、といった振り返りにも活用しています。他にも花が咲いたときにその畑の花の量が多かったのか少なかったのかを紙に書いていたんですけど、アグリノートに全部集約しようということになりましたね。」

– 上手く活用いただきありがとうございます!それでは収穫記録はいかがでしょうか。

岩倉さん: 「そうですね、収穫記録は[品質・規格]の選択肢を品質や品種別に分けて、この品種のこの品質がどれだけ取れたかがわかるように記録しています。それに加えて最近、収穫記録こんなふうに使えるんや!と気づくことがあって、ちょっと計測のタイミングを増やしました。」

– 面白そうですね。どのように工夫されたのでしょうか。

岩倉さん: 「私たちは開花前に、この畑でこれくらい取りたいという畑ごとの収量の目標値を出します。開花後に花の量を見て、もう一度予想値を記録して、最後は収穫直前に木の様子を見てまた収量予想をするのです。合計で年3回、収穫量の予想をしています。

これまではエクセルを使って収穫量の予想を記録していましたが、アグリノートの収穫記録の計測タイミングの項目を増やせば記録できることに気づいて。今年からはもう記録はアグリノート1本になっています。この記録方法だと[記録を見る]から収穫実績も含めて一覧で見られるので、予想に対しどうだったのか比較して見られるんです。

この品種でこれだけ収穫したいと立てた目標が、開花期の花を見てこれくらいかなと再度予想して、収穫前に増えたんやなというのが一目でわかります。」

– この記録を継続していくことで予想の精度がどんどん上がっていきそうですね。

※早和果樹園様の予実管理の設定、記録の仕方はこちらでご覧いただけます。

アグリノート YouTubeチャンネル|農家さん直伝!アグリノート活用術(ショート動画)
#2 歩留まりを把握するための収穫記録の裏ワザ

 


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SNS運用、会議なども記録して、作業の時間配分の判断材料に。数字で見る農業経営を実践したい

– 出荷記録はつけていますか?

岩倉さん: 「出荷の記録もつけていますね。品種ごとに分けていますが、出荷したときに糖度検査や品質、見た目の評価で単価が変わってくるので、詳細は会社指定の書式でデータを残しています。」

松本さん: 「うちでは生産部で収穫したみかんを出荷部が買い付ける、社内取引という形をとっています。若干ややこしいんですけど、協力農家さんがたくさんいる中で基準を統一する必要があるので、社内の生産部からの収穫物も同じ条件で成績をつけて、同じ基準で見比べて評価します。同じ会社なのでお金は動きませんが、成績としてちゃんと記録しておく必要があります。」

– なるほど。そのようにして収支を確認されているのですね。

岩倉さん: 「はい。アグリノートの収支画面で確認する他に、データを出力して自分たちで加工しやすいようにエクセルに落とし込んで確認しています。みかんの栽培が一段落する3月にはある程度畑の情報が揃っているので、そこで畑ごと収支を一覧にまとめています。」

– ひとつ気になったのですが、作業項目に「SNS関係」とありますがこれはどのような使い方をされているのでしょうか?

sowakajuen_image05岩倉さん: 「そうですね。今生産部のスタッフがインスタグラムで生産現場の情報を発信していて、その投稿にかかった時間を見たいということで作業項目に[SNS関係]追加しました。他にも会議の時間も項目として用意しています。

これをどうこうするということはないんですが、次年度に作業の時間配分をするときに、畑作業以外でどれくらいの時間を使ったのか確認したいので。

松本さん: 「SNSは会社として運用しているアカウントがある中で、生産部も独自に運用するというところで、生産部として時間と効果を見とかんとなということですね。」

岩倉さん: 「日々記録し、確認して、アグリノート1本でなんでも管理できるように運用を考えています。」

– それではアグリノートへの要望などありましたらお聞かせください。

岩倉さん: 「そうですね、普段の記録に関してはめちゃめちゃ使いやすくて、自分たちがやりやすいように管理できていますが、[記録を見る]画面で出荷記録が見られない(*1)ので、これもまとめて確認できるようになるとうれしいです。収穫記録、生育記録は圃場ごとに見られるのに、出荷記録だけ見られないのは少し残念かなと思っています。」

– この度は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

(取材:2025年3月28日)

*1 現在は、パソコンブラウザ版[記録を見る]画面で出荷記録を閲覧いただけます。

 

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