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出荷記録で収量と収支を可視化。記録を業務改善につなげ、従業員が働きやすく収益性の高い農業を目指しています。

この事例のポイント!

  • 作業予定を共有して現場でのデータ入力を簡便化
  • 出荷記録をもとに圃場全体の収支を可視化。収量減少の原因特定、改善を実施
  • 過去のさまざまな記録データを振り返り、比較して栽培計画を策定

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収益性の向上と労働環境の改善により、若い人が進んで農業を選択する未来を作りたい

有限会社ウラタ農園は福岡県糸島市で水菜を中心にとした葉物野菜を栽培されている農業法人です。20名以上の従業員が「心が笑顔になれる野菜」を追究し、日々の農作業に取り組まれています。
代表の浦田康明さんは「農明」を企業理念に掲げ、農業を通じて若者の育成や地域を明るくすることを目指しています。
今回は、農業におけるデータの活用方法や目指している農業の未来についてまで、幅広くお伺いしました。

アグリノートの記録はいつでもどこでも簡単に確認できるので助かっています。

– 長年アグリノートをご利用いただきありがとうございます!これまでを振り返っていただき、アグリノートを導入したきっかけから教えていただけますでしょうか。

「使い始めたのは2014年頃なので、今から10年ほど前です。当時は提出帳票を作成するために作業の記録をノートに手書きしていましたが、面倒だなと感じていました。それに書いた記録を振り返ることも少なかったので、もっと簡単に記録付けや振り返りのできるツールが欲しいと思っていました。

また、トレーサビリティの観点からも、生産した作物に問題があった場合、散布した農薬の種類や量、時期などをすぐに確認できる体制を組織として整備することは必須であると考えていました。そんな時、周りの生産者からGAPの審査時にアグリノートを活用しているとの話を聞き、帳票出力も便利だとの声もあったので導入することにしました。」

– 実際にアグリノートをご利用いただいた感想はいかがでしょうか。

「過去の記録をすぐに確認できるので助かっています。紙に書いた情報はスマホやパソコンのような検索機能がないので記録を見返すことが大変です。その点、アグリノートはいつでもどこでもデータを確認することができます。毎日の作業や栽培に関する記録をつけることはもちろん、記録データを出力して使うこともできるので、今では農園全体の収支の把握もアグリノートでできるようになりました。

入力ミスを防ぐため、作業予定を活用!作業現場では誰でも簡単に記録付けができる工夫をしています。

– それではアグリノートを日々どのように使っているのか教えていただけますか?

urata_image03「現在弊社には22名の従業員がいますが、アグリノートを日常的に使用しているのは栽培責任者と、現場作業のリーダーを務める海外からの実習生3名の計4名です。そのメンバーが中心となって日々の活動を作業記録に登録しています。私はアグリノートに入力された記録を、週末に抜け漏れがないかチェックしています。」

– アグリノートへの記録付けで工夫していることはありますか?

「作業記録では入力ミスを防ぐために作業予定を登録していますね。例えば、防除作業の前にはアグリノートのカレンダーへ作業予定を登録しておきます。登録する内容としては、薬剤の種類、作業者、作業時間です。
作業予定を登録しておくと、現場スタッフはスマホ画面を数回タップするだけで作業記録がつけられるのでとても簡単です。現場での入力作業を最小限にすることで、漢字に慣れていない実習生でも操作できます。

– 他にも記録付けで意識していることはありますか?

「作業記録のほかにも生育記録や収穫記録、出荷記録を入力しています。栽培状況について細かく記録しているのは、収量の減少などの問題が発生した場合に原因を特定するためです。問題が発生したら、過去の生育記録や収穫記録を振り返り、何かしらの変化がなかったかなどのチェックをしています。」

出荷記録から収支の比較を行い、栽培状況の問題点を分析。様々な記録を振り返り改善点を探ります。

– 様々な記録付けをされていますが、各データは普段どのように確認していますか?

「振り返りはカレンダー機能を使うことが多いです。カレンダーを週表示にして、過去と現在のデータを比較して見ています。最も重視しているのは出荷記録から比較できる圃場全体の収支です。収支を比較して栽培状況に問題がないかを確認し、問題があればどこを改善する必要があるか検証しています。」

– 具体的に収支をどのように確認していますか?

urata_image01「収支も週単位で確認しています。収支の確認のために大切な出荷記録は、時期や出荷先も確認しますが、特に出荷量を注視しています。単価は年度によって変動するので、単純に売上を比較するだけでは栽培状況に関する詳しい変化がわかりません。
仮に、出荷量が減少している圃場があった場合は、収穫記録や生育記録を確認して原因を究明します。原因を探るには収穫時や生育時の細かな記録が重要で、生育途中や収穫時に葉先の枯れや食害など、気になることがあればメモ欄へ記入したり、必要に応じて写真を添付して共有したりしています。
収穫記録に関しては、収量だけでなく作業時間も記録します。午前か午後の違いで収量が変化する場合があるためです。様々なデータを蓄積し、分析することで、収量の増減に関わる原因を探り、収益性や再現性の高い農業を目指しています。」

自動記録機能を使って労働時間の削減を目指したい。職場環境を整えることは経営者の責任だと考えています。

– 他にも記録したデータの活用方法を教えていただけますか?

「弊社では作付け前に作業計画を立てますが、その際には過去の記録を振り返りながら作成しています。作業記録だけでなく、生育、収穫、出荷に関する記録も参考に、週単位で昨年同時期の売り上げや収穫量、生育状況を比較しながら作業計画を考えます。」

– データ活用において今後取り組みたいと思っていることはありますか?

「圃場全体の大まかな収支は確認できていますが、圃場単位での収支を把握できていません。より収益性を上げるために必要なのは、圃場単位の利益を可視化することだと考えています。利益の出ている圃場をさらに伸ばすことは難しいですが、利益の出てない圃場の改善はすぐに取り組むことができると思っています。
 アグリノートの圃場と作付設定を工夫することで各圃場の収支が確認できますが、まだそこまで着手できていないのが現状です。すべての機能を活用しないのはもったいないですよね。」

– 機能の追加や改修はまだまだ続きますので、ぜひいろいろ試してみてください。

「会社として次のステップへ進むためにも、人材教育の観点でもアグリノートを活用したいですね。特に期待しているのは自動記録機能(※)です。現在は作業記録の作成に毎回10~20分ほどの時間がかかります。記録を入力する時間もコストだと考えているので、少しでも作業時間を短縮できる機能は有効活用したいです。労働時間を短縮することで、より従業員が働きやすい環境を整備することが経営者として考えるべきことだと思います。」

※GPSを利用して自動で作業記録が下書きされる機能
 
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農業を通じて若者を育成し、地域を明るくしたい。そのためには私たちが変わり、稼げる農業を実践することが必要です。

– それでは、ウラタ農園さんの今後の展望についてお聞かせください。

「農産物の品質という観点では、現在認証されている特別栽培の他に、有機JAS認証をとりたいと考えています。経営者としては、労働環境の改善や人材育成に力を入れて、従業員のみでも自走する組織を作っていきたいですね。そのために、アグリノートをフル活用して業務の効率化や人材教育を進め、次のステージに進んでいきたいと思います。

 今までは気合と根性で経営してきましたが、今はそういった時代ではないですよね(笑)。従業員にとってどれだけ働きやすい環境を整備していくかがこれからの経営者のあるべき姿だと考えます。効率化によって収益が上がり、若い人が進んで農業を選択する未来を作っていきたいです。この考えは、ウラタ農園の社是「農明」としても掲げています。農業を通じて若者を育成し、地域を明るくしていくことは会社としての理念でもあります。そのためには私たちが変化し、稼げる農業を実践することが必要だと考えています。」

– 若い方の育成とのお話がありましたが、これから農業を始める人や新規就農者へアドバイスがあればお願いします。

「今は農業人口が減っているため、若い人たちが新たに就農するにはチャンスだと思います。これから農業を始める人へアドバイスするとしたら、まず取り組むべきことは記録を残すこと。失敗には必ず原因があり、その原因を探るには作業を振り返ることが必要です。その際、作業記録をすぐに確認できる状態にしておくことが大切。紙に書いた記録は検索ができないのですぐに振り返ることが難しく、いずれ見なくなります。農業は積み重ねが大事ですから、同じ失敗を繰り返さないために、記録を振り返るツールとしてアグリノートは必要だと思います。」

– 力強いメッセージをいただきました!本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

(取材:2024年9月11日)

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