農作業以外の部分のスマート化が大事。法人の今後のためにも、ネット管理で利活用できる営農管理は重要です。
鳥取県日野郡農事組合法人 宮市
この事例のポイント!
- 法人の今後に向け、利活用できる記録の取り方を意識しアグリノートを導入
- 地域の農地管理でも圃場マップを活用
- 加工品製造など農作業以外の内容も記録し、法人全体の作業を管理
一法人の後継者として、さらに地域全体の若手担い手として。高齢化と担い手不足のなかで、今後のために実践する記録管理
中国地方の最高峰・大山の麓、奥大山と呼ばれる地域に位置する鳥取県江府町。今回ご登場の農事組合法人 宮市様は、豊かな自然に囲まれた江府町で水稲を中心に手掛けられています。取材にご対応いただいた松本 良史さんは、地域おこし協力隊で江府町に着任したのをきっかけに農業に携わり、任期終了後も江府町に定住、2020年より農事組合法人 宮市の組合員になられました。地域の若手担い手として感じる課題や、課題解決に向けアグリノートをどのように活用していきたいかなど、じっくりお話を伺いました。
圃場をマップ上でのデジタル管理に興味を持っていたところ、イベント会場でアグリノートに出会いコレだ!と思いました。
– お忙しい中取材のお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、アグリノートをはじめられた経緯からお聞かせいただけますか。
「もう5年ほど前になりますが、山形で開催された『米・食味分析鑑定コンクール』(平成29年:第19回山形県真室川町開催)に視察に行った際、アグリノートがブース出展していて、そこで話を聞いたのがきっかけです。」
– 大雪の中開催された大会でしたが、屋外会場のブースにお立ち寄りいただいたとは!
「以前から圃場を地図上で管理したり、作業の履歴をデジタル管理できるのはなんとなく知っていたんです。ブースで見つけたときコレだ!と思いました。しかも安い!土地管理だけでも年間6,000円(2021年取材時の提供価格)の価値があると思います(笑)。」
– ありがとうございます(笑)。データ管理に興味を持たれていたところにアグリノートがマッチしたということですね。
「戻ってすぐ代表にアグリノートの利用を打診しました。スマート農業という言葉をよく耳にしますが、私は農作業以外の部分をスマート化するのが一番大事だと思うんです。だからツールを使って事務時間を短縮すべきで、まずは作業の記録や圃場管理を電子化してきちんと把握したいと伝えました。」
事務作業や味噌づくりまで、農作業以外の作業の記録も入力しています。もっと使いこなしたいですね。
– それでは、日々の作業の中でアグリノートをどのように使われていますか?
「圃場管理と作業記録づけを中心に、あとはデータを出力して集計したりしています。
圃場の管理は自分のところと受託予定のところを登録して管理しています。作業予定はGoogleカレンダーに入れておいて、実際の記録をアグリノートにつけています。スタッフの数が少ないので、アグリノートに作業予定を入れておいて作業指示をするような使い方はしていません。精米出荷などもしているので、その作業内容や事務作業についても記録しています。」
– 法人としての作業全体を記録しているということですね。
「そうですね。今後スタッフが増えたときのことを考えると、新しく入った方はうちのこれまでの履歴や状況を知りませんから、ネット上で管理していれば伝えやすいと思います。
アグリノートは設定もかんたんで、圃場管理が地図ベースで場所がすぐにわかります。圃場単位でいつ何をやったかがすぐにわかるのは便利です。便利だと感じてはいるのですが、実際はあまり使いこなせていません(苦笑)。」
– 圃場管理や作業記録の管理、データ出力などで利便性を感じていただけているようで嬉しいです。新しい機能については、必要に応じて試してみてください。
新しいスタッフが入ってきたとき、これまでの記録データがきっと役に立つ。管理者としてアグリノートの使い道が増えると考えています。
– さきほど「今後スタッフが増えたとき」とおっしゃっていましたが、それを見越し取り組まれているということでしょうか。
「具体的には決まっていませんが、うちに限らず地域全体をみてもの高齢化で担い手が減っているので、これから規模が増えていくだろうから人が欲しいというのがあります。そうなると、作業の予定を組んで皆で情報共有するなど、管理者としての使い道が増えると思います。」
– 情報の共有と伝承のために記録を利活用するということですね。
「そうですね。少人数で皆高齢なのでなかなか難しいのですが、妻にも作業した内容を入力してもらったり、記録のデータ化を進めています。資材類や人件費の単価を設定してコストを見たり、さまざまな管理にアグリノートを活用したいですね。」
– 活用セミナーなどにご参加いただいた法人の方から、同じような課題感を持たれているというお話しをよく伺います。
「江府町に限らず、高齢化と担い手の減少は厳しい現状だと思います。実は令和5年に法人の代表になりました。私と妻(雇用でもう一人くらい)で専業農家としてこの地域でやっていけるモデルケースになれれば、という気持ちがあります。
地域に担い手がいないのは大きな課題です。自分が農業を楽しむことを通じて、同じマインドの地域の若手が増えてくれるといいなと思っています。農業法人として地域農業の土台を作りたいですね。」
– 今後に向けた動きのなかで、アグリノートの利活用が一助になったら嬉しいです。それでは、今後はどのようにアグリノートを使っていきたいと考えていますか。
「さきほどもお話ししましたが、コストや時間の管理ができたらいいなと思いますね。それと以前JGAPへの取り組みを検討したことがあって、その時はまだトライする段階ではないと見送ったのですが、人が増えて組織の体制が整ったら、改めてJGAPに取り組みたいと思っています。そのときはアグリノートでの管理がベースになってくるはず。今はGoogleスプレッドシートで管理している作業計画をアグリノートに入れて、皆が見られるようにしたいですね。」
– 最後に、アグリノートへのご要望などをお聞かせください。
「草刈だけ、精米出荷などの加工部門だけ、といったように作業項目ごとに作業時間を集計できるといいですね。あと『作業者別作業時間集計表』で日計も出てほしいです。臨時雇用の場合も、個別に農作業にかかった時間と加工にかかった時間を出しているので、時間の集計が自動化されると嬉しいです。」
– 貴重なご意見をいただきありがとうございます。本日はお時間をいただきありがとうございました!
(取材:2021年12月9日)
(追加取材日:2023年4月7日)