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大規模経営には業務の効率化と従業員教育が大切。次世代の目標となるようなモデル農家を目指しています。

この事例のポイント!

  • 農機連携を活用し、効率的な記録付けとデータ収集
  • 情報共有と従業員教育を実施。業務効率を改善
  • JGAPの認証審査や自治体への申請書類作成に出力データを活用

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2名で45haの圃場管理を可能にする、農機連携を活用したデータ収集と情報共有について深堀り!

[大規模な機械化農業を行うモデル農村をつくる]という国の政策のもと、1964年に発足した秋田県南秋田郡 大潟村。今回は、その大潟村で45haの大規模生産に取り組まれている有限会社今野農園さんに、大規模な農業経営をする上で工夫されていることや、今後の取り組みについてお話をお伺いしました。

新しく従業員が入り、アグリノートの利便性を実感。情報共有によって作業効率が上がりました。

– 早速ですが、アグリノートを導入した経緯を教えていただけますでしょうか?

「導入したのは2016年頃です。当時、大規模経営をされている有名な水稲生産法人の方からアグリノートの活用の仕方について話を聞く機会がありました。その方は独自の農業経営マニュアルを作成していて、営農管理の中心を担うシステムとしてアグリノートを活用されているということだったので、それはいいな!と。また、JGAP認証の取得にも利用できるし、アグリノートにしっかりとデータを残しておけば、ノウハウを従業員に伝える際の業務効率化も図れると考えました。

– 大潟村は大規模生産者が多いとお聞きしています。今野農園さんはどのくらいの規模で生産をされているのですか。

「ここ1,2年で一気に増えてしまって把握しきれていないのですが、たぶん40町くらいだったと思います(苦笑)。(ここでアグリノートの画面を確認)正確には45町ですね!水稲が30町で、大豆が15町です。」

– 従業員さんは何名いらっしゃいますか?

「現在は1名です。最近入ったばかりですが、従業員が加わることでアグリノートの効果を今まで以上に実感しましたね。入社して間もない頃は、当然ながら圃場の位置や栽培している作物、各圃場でどんな作業をしているのかを知らないので、口頭でそれらを説明していました。ただ説明には時間がかかりますし、口頭だけではいずれ作業する圃場を間違える可能性があるという危機感がありました。」

– それから従業員さんにはどのような指導をされたのですか?

「まず、アグリノートをスマートフォンにインストールしてもらいました。アプリなら圃場の位置はマップ上で視覚的に説明できますし、作業状況の共有も可能になったので、説明の時間が短縮され作業効率があがりました。従業員と仕事をするうえで、情報共有することの大切さを改めて感じましたね。」

情報共有だけでなく、JGAP認証取得や自治体への申請書作成にも活用の幅が広がっています。

– 情報共有にアグリノートを活用しているとのことですが、普段はどのように利用されていますか?

「一番よく使うのはマップ画面ですね。圃場の位置と作付している品種を確認しています。従業員はアグリノートで圃場の位置を確認するだけでなく、作業記録も確認することで作業への理解が深まり、教育の観点でも効果的だと感じています。
今は私が作業記録を付けていますが、さらなる理解と情報共有の強化のために、今後は従業員に日々の作業記録をつけてもらおうと思っています。」

– 人数が増えて活用方法も変わってきていますね。他に、グリノートが役立っている場面はありますか?

konno_image03自治体に提出する資料の作成時に活用しています。補助金申請書類に各圃場の面積を記入する必要がありますが、その際にはアグリノートに入力した圃場の面積を確認します。申請書類を提出する際には役所の方から栽培計画について聞かれることもあるので、アグリノートに栽培計画を入れてから臨むこともありますね。
あとJGAPの審査の際にも活用しています。審査員から作業記録の質問を受けた際には、アグリノートに記録したデータをパソコンの画面を見せながら説明しています。」

– 導入目的であったJGAP認証取得時にもご利用されていると。これから活用したい機能はありますか?

「立て看板機能(※1)ですね。従業員も入ったので情報共有といった観点で、今後活用していきたいです。」
 

※1 マップ画面にアイコンを付け、そこにコメントをつけて情報共有する機能

– なるほど、立て看板を使った情報共有は私たちもおすすめしたいです。

「以前従業員から、田んぼの畔に穴が開いていたから穴の周辺に棒を設置しておいたと報告を受けたんです。後日現場へ行くと棒が1本設置されていたので、1か所かと思って作業を進めていたところ、実際は3か所も穴があって驚きました。予想をしていなかったので作業に時間がかかってしまいました(苦笑)。立て看板機能を使えばマップ上に必要な数だけアイコンを登録できますし、写真やコメントの入力も可能です。
立て看板は様々な使い方ができるので、今回のようなコミュニケーションエラーも減ると思います。他にも作業効率の上がる機能があれば積極的に活用していきたいですね。」

ヤンマー スマートアシストリモート対応の農機とアグリノートを連携。栽培や作業に関するデータを簡単に記録できます。

– 農機連携を活用されているとお伺いしました。

「はい。ヤンマーのスマートアシストリモート(※2)対応の農機を持っているので、アグリノートとの連携オプションを使って機械の稼働状況などのデータを確認し記録しています。」
 

※2 GPS、通信端末を搭載した農業機械から発信される稼働情報などをもとに効率化を図るサービス。アグリノート連携するとアグリノート上で農機の情報が確認できるようになり、記録作成が容易になる

– 実際にアグリノートと連携してからの感触はいかがですか?

konno_image01トラクターを「いつ」、「どこで」、「どう動かした」までデータが残るので、正直これはいいな!と思いました。忙しい時期だと作業記録の作成をついつい後回しにしてしまうのですが、後で記録をつけようにも思い出せないこともありました(苦笑)。
スマートアシストリモートと連携すると、農機が取得したデータを後から見返すことができます。日を跨いでも作業記録を作成できるので、素晴らしい機能だと感じています。

スマートアシストリモート対応の収量コンバインを持っているので、収穫記録連携機能(※3)も使っています。圃場1枚当たりの収量を把握するのはなかなか難しいのですが、この連携機能があれば自動で収量データをもとに収穫記録を作成してくれるので非常に楽ですよね。

さらに、アグリノートの「記録を見る」画面で収穫記録をもとに作付単位や圃場単位での収量を振り返ることで、次年度の計画や今後の改善につながる気付きを得られればと考えています。将来的には、圃場ごとの収支を把握したいので、収穫記録連携機能も活用しながらしっかりとデータを蓄積していきたいですね。

あと、これは余談になりますが、大豆用のコンバインを購入予定なのですが、オプションでスマートアシストリモートを搭載しました。それくらい便利な機能だと感じています。記録の簡略化は効率的な営農につながる実感があるので、機械の更新は計画的に進めたいと思っています。
 

※3 収量コンバインの稼働情報とアグリノートの区画をもとに、自動でアグリノート上に収穫記録が作成される機能

農業技術をデータとして次の世代へ伝え、持続可能な農業へ。新たな技術を取り入れながら大潟村らしい農業経営のモデルを模索していきます。

– 今後、経営規模を拡大されるご予定でしょうか。

「それは考えていますね。周りでは後継者のいない個人経営者が15haほどの圃場を貸したり売ったりしています。ただ、15haを超える大規模な圃場を新規就農者がいきなり経営することは難しいので、規模を拡大する意思と技術のある法人へ圃場が集まらざるを得ない状況です。規模拡大には従業員を雇用することが必要で、労働環境を整えて魅力ある組織にしていかないと人は集まりません。そのため、生産性や作業効率を上げるための農業経営を支援する技術は必須だと考えますし、若い人へ技術を伝えていくことも必要だと感じています。」

– 経営規模を拡大するにあたり、アグリノートへ期待することはありますか。

konno_image02「過去のデータをもとにした、営農支援機能です。過去の作業記録から草刈りや潅水の時期を通知してくれる機能や、機械操作など無意識に行っている行動を記録し、データとして若い人に伝えることができるといいですね。私も年齢的に体を動かしづらくなってきているので、これからは若い人にお願いすることも多くなると思います。」

– 具体的にどのような技術を若い人たちに伝えたいとお考えですか?

「例えば、田植えをしているときに機械が埋まりそうになることがあります。その際、機械のスピードが遅くなり、苗の植え付けの幅も狭くなります。そういった場合、状況に応じた機械操作をして対処しています。これは長年の経験から無意識的に行動しているので、人に教えるのは難しいと思います。アグリノートには様々なデータを蓄積できるので、機械操作などの行動を数値化し、言語化できれば再現性のある持続可能な農業になると思いますし、そんな未来を期待しています。」

– 最後に、今後の展望などお聞かせください。

「先進的な技術を取り入れてモデルとなれるような農業経営をしたいと思っています。大潟村はもともと湖だった場所を開拓してできたモデル農村という成り立ちもあるので、新しい技術を取り入れて、大潟村らしい農業をしていきたいですね。そのためには、アグリノートのようなデジタルツールも含めて、良い技術は積極的に取り入れていくことが必須になると考えています。」

– 貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

(取材:2024年8月7日)

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