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トップページ 導入事例 経営規模拡大のカギは信頼関係の構築と数字にもとづく農業経営。アグリノートの活用の幅はさらに広がると思います。

経営規模拡大のカギは信頼関係の構築と数字にもとづく農業経営。アグリノートの活用の幅はさらに広がると思います。

山形県東置賜郡ナカガワファーム

この事例のポイント!

  • 経営に必要なことはデータ整理とコミュニケーション
  • 記録データから何を可視化したいか、目的によってデジタルツールを使い分け
  • 記録を振り返り、データに基づいた栽培計画を策定

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家族経営で規模を拡大していくために必要なのは、データに基づく農場経営だった!?

ナカガワファーム様は、山形県のほぼ中央に位置する西川町で稲作を中心に、ソバや大豆などを栽培されています。
代表の中川秀人様は20歳で就農し、「ナカガワファーム」として農業経営を始めて今期が8期目となります。従業員はご自身と奥様の2名ながら毎年経営規模を拡大し、現在は約20haの圃場を管理されています。
今回は、家族2人で農業経営をするために大切にしているポイントを中心にお話を伺いました。

兼業だった父から受け継いだ農業。自分がやるなら専業で!

– 早速ですが、現在ナカガワファームさんではどのような作物を栽培されていますか?

「今栽培しているのは、水稲が中心で、他には蕎麦や大豆を栽培しています。稲が17haで蕎麦が2.3ha、大豆は0.7haくらいで後はネギも7aほど栽培しています。毎年面積が拡大していますが、現在は20haほどの栽培面積で、圃場数は120以上になりますね。」

– 20haもの栽培面積をどのように運営なさっているのですか?

「私と妻の2人で運営しています。担当作物などは特につくらずに2人で栽培しています。」

– 20haもの農地をお2人で管理しているなんてすごいですね!ちなみに、中川さんが農業を始められたのはいつ頃でしょうか。

「20歳のころに就農したので、18年になりますね。私が代表として農業経営を始めてからは今年で8期目となります。それまでは父が代表として経営していました。といっても、父は兼業農家だったのでそこまで数字にこだわっておらず、農業経営をしている感覚ではなかったと思います。父は農業所得以外の収入がある一方、私は専業で農業をやっていくと決めていたので、しっかりと稼げる農業をすることを意識しました。」

経営を支えたのは、地道な下積み経験による成果とデジタルツールの使い分け

– 代表となって農業経営を始めるにあたり、最初何から取り組まれましたか?

「経営権を譲り受ける前から、カントリーエレベーターから送られてくるデータを独自に分析していました。収穫したお米の歩留まりのデータを分析し、田んぼごとの特徴を把握していました。数年前から始めたYouTubeで私を知ってくださった方には、2~3年で経営規模を拡大したように感じている方がいらっしゃるようですが、実は地道に下積みを重ねて18年間やってきているんですよね(笑)。」

– その後、どのようなことを意識されてきましたか。

「やはり、数字を見ることですね。特に経営規模を拡大するための融資を受ける際には、資金計画や財務状況などを説明する必要があります。経営状況を可視化することで、説得力を持って融資担当者と話しができます。その結果、スムーズな融資につながり、積極的な設備投資ができていると感じています。数字を管理することで頭の中が整理される点も重要だと思っています。
それと、コミュニケーションですね。数字を意識して経営するようになってからは、行政の方と補助金申請や農業に関する相談をする際に、より踏み込んだ話しをする機会が増えました。数字をもとに根拠のある話しをすることで思いが伝わり、信頼関係が生まれたと思っています。それからは、行政の方から農業イベントの相談を受けたり、補助金に関する情報をいただいたりしています。
ほんの一例にすぎませんが、お互いに協力し合う関係性ができたからこそ、今までになかったお話しをいただけていると感じています。行政の方に限らず、取引先など関わる人すべてと良好なコミュニケーションをとって信頼関係を築くことで、経営のヒントとなるような新たな情報を得ることができていると感じます。」

– それでは、数字を見るうえで工夫されていることはありますか?

nakagawafarm_image01「アグリノートなどのデジタルツールを活用するにあたり、1つのデジタルツールに頼らず目的に応じて使い分けています。私の場合、アグリノート以外にExcelなども活用しています。アグリノートはマップでの圃場管理と日々の作業記録の管理を目的に使用していて、過去の記録をもとに作業改善や作付計画の作成に役立てています。Excelに関しては、収支計画など経営に関わる数字の管理に使用しています。」
※画像は中川様によるExcelでの管理の様子です。アグリノートの画面ではありません。

– 具体的に作付計画や収支計画はどのように作られているのですか?

作付計画はアグリノートで記録した過去の作業記録を参考に作成しています。作業のタイミングやどのような肥料を使っていたのかなどを確認して作付計画に落とし込みます。過去の記録だけでなく、稲刈りの際には成長を確認しながら作業を行い、作付計画に反映させています。『この圃場は収穫量がイマイチだから来年はもっと工夫しよう』とか、稲刈り中はずっと考えています。
収支計画については冬の間に頭を動かす感じですね。修繕費や資材の購入費などの予算を組み立て、肥料や農薬などの資材発注は冬の間に完了させます。なので、春はもう体を動かすだけ!って感じですね(笑)。」

– 他にもツールの活用という観点で何か工夫されていることはありますか

nakagawafarm_image02「最近はじめたのですが、播種の工程表をExcelで作ってみました。実はこの工程表のフォーマットは建築などで一般的に使われるものを参考にしています。今自宅を建設中で、建設業者さんからガントチャート形式の工事の工程表をもらったのでそれをヒントにしました。
品種ごとに播種した日にちを細かく管理したいと思っていたので、便利だと感じています。工程表の作成にはアグリノートの過去の播種の記録を参考にしています。」

大切なことはデータに基づく計画!広がるアグリノートの利用範囲

– アグリノートをはじめられたいきさつを教えてください

「たしか、農業雑誌か新聞で見かけたと思います。 当時(2018年頃)は、営農管理の中心はExcelでしたが、記録の集計や前年度の比較などが面倒だったので、利便性の高いデジタルツールを探していました。アグリノートを使うまでは地番情報や圃場面積などはパソコンを開いてExcelで管理や確認をしていましたが、今では手元のスマホからすぐにチェックできるようになりました。」

– アグリノートのどういったところに特に利便性を感じますか?

「やっぱり、いつでも情報を確認できて作業記録をつけられるところですよね。 過去の作業記録を出先で振り返ったり、マップ画面の圃場を押すとすぐ記録ができたり、どこにいてもすぐに見られるところが便利です。
作業現場でスマホのマップ画面をポチポチするだけで作業を記録するのはExcelでは難しいですよね。後は情報共有ができるところもいいです。以前、奥さんから圃場情報を共有するために地図を作成してくれと頼まれたんです。わざわざ地図を印刷して圃場を品種ごとに色分けして塗った地図を渡したのですが、あまり使ってくれなくて(苦笑)。 アグリノートを導入してからは圃場や品種ごとの色分けは簡単ですし、スマホですぐに確認できるので助かっています。今では奥さんもスマホの画面を見て圃場の位置や品種を確認しながら作業をしています。」

– 圃場マップのわかりやすさには私たちも自信があります!それでは記録づけの面ではいかがでしょうか

nakagawafarm_image03「そうですね。うちは米以外にはソバやネギなども栽培していますが、農薬を使用する頻度の高いネギはアグリノートで細かく記録していますね。農薬の散布回数だけでなく、有効成分ごとの使用回数が決まっています。特に野菜は管理が厳しいので、散布回数などを簡単に確認できるアグリノートは便利ですね。
あとは、一日の作業見通しを立てる際にも役立っています。稲刈りや田植えのときは、アグリノートのマップ画面に表示される圃場面積をよく見ます。圃場面積と現在の作業進捗を考慮し、今日はどこまで作業が進められそうかを計算しています。

– お話をお伺いして、現在の状態を把握して何をすべきか考え、変更や追加を行って改善するPDCAサイクルを回されていると感じました。記録データを使ってPDCAサイクルを回すコツはありますか?

「農業は年に1回しかPDCAサイクルを回すことができないので難しいですよね。だからこそデータに基づいて計画を立てることが大切です。その際、重要なのが過去の記録です。いつ何をどのように行ったかアグリノートに記録し、振り返ることで改善につなげていきます。
具体的には、肥料の種類や施肥のタイミングによる収量の変化を記録し、アグリノートとExcelを組み合わせて次年度の計画を作成するなどしています。また、水稲の品種が多いため3回に分けて播種をします。その際に播種の工程表を作成するのですが、計画を作成するうえでアグリノートの記録を活用しています。いつどんな作業をしたのかがすぐに確認できるアグリノートはとても便利に感じています。」

規模の拡大、スタッフの増員。代表として考えるこれからのビジョン

– 毎年経営規模が拡大しているとのことでしたが、今後は法人化なども検討されていますか?

「そうですね。今後さらに拡大していけば法人化することも検討しています。実際、毎年のように周辺の農家さんから2~3haほどを栽培して欲しいと依頼されることがあります。さらに規模が拡大すると2人で経営していくことが難しくなるので、従業員を増やす必要も出てくると思います。圃場数が増えたり従業員が増えたりすると情報共有や作業指示などアグリノートを活用する場面がより増えてくると感じます。」

– 長くご利用いただいていますが、今後アグリノートに期待することはありますか?

「乾燥機械と連携して乾燥調製の記録がつけられるようになるといいですね。圃場毎の水分率やお米の等級などが自動で記録されるとうれしいです。乾燥調製したデータは細かく記録していますし、他の生産者のお米も乾燥調製しているので、管理するのが大変なんですよね。アグリノートに記録できるととても助かります。」

– 今日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

(取材:2024年8月7日)

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